名刺の渡し方と名刺交換の際に覚えておくべきマナー

初めての取引相手と顔を合わせた際に行う名刺交換は、ビジネスの交渉においてとても重要なプロセスです。

名刺交換の作法が良ければ、人物自体の印象もかなり良くなります。名刺の渡し方次第で取引の成立に影響があると言っても過言ではありません。相手に好感を与える名刺の渡し方と名刺を交換する際に注意すべきマナーについて紹介しましょう。


名刺を渡す前の準備について

名刺交換はプレゼンテーションの第1歩だと捉えて、万全の準備を行わなければなりません。名刺は新品で傷や汚れの無いものを準備しましょう。皺が付いていたり折れ曲がったりしている名刺を渡すのは大変失礼です。

なお、名刺入れには常に10枚以上入れておいて、現場で名刺が足りないという恥ずかしい事態に陥らないように準備しましょう。

また、名刺を渡す際には、指先も相手の目にとまるので爪の手入れなども欠かしてはいけません。さらに、名刺を渡す前には、その場で手間取らないように予め手元に準備しておくことが重要です。

財布やポケットではなく、必ず名刺入れに収納しておくようにしましょう。名刺入れをバッグ等の取出しやすい所に入れておいて、取引現場であちこち探すようなことなくスムーズに名刺交換できるように準備することが大切です。

名刺交換に慣れていないという印象を与えると、取引自体も不慣れで頼りないと思われてしまう恐れがあります。

できれば相手と顔を合わせる前に名刺入れを取り出しておくようにしましょう。対応する相手の人数を確認して、渡すのに必要な枚数の名刺を名刺入れから取出し、名刺入れの上に重ねて置くと名刺交換を円滑に行うことができます。

相手同士の会話や先方の紹介の順番などから誰が上司で誰が部下なのか判断して、渡す順番のめどをつけておくことも大切です。

名刺を渡す時のマナー

相手と対面して名刺を渡す場面になったら、席を立ち自ら歩み寄って名刺を差し出します。椅子から立ってそのままテーブル越しに渡してはいけません。また、相手が手元に名刺を用意していなければ、両手で胸の前に名刺を持って会釈をしながら受け取りやすいよう相手の手元に出します。

そして、相手が文字を読めるように、名刺の下側を相手に向けるようにします。その際に、「財団法人令和会ジェネラルマネージャーの山田一郎と申します」などと簡潔に自己紹介をします。自分の所属先・役職名・名前は省略せず、正式名称とフルネームを述べるようにしましょう。

略すと相手を軽んじている印象を与えてしまいます。挨拶の際は相手の目を見て自然な微笑みを浮かべながら、一言ずつしっかりと話すようにしましょう。目を伏せて名刺を見ながら早口で挨拶すると、印象が悪くなってしまいます。

相手が名刺に関心を持ってくれているという感触を持ったら、名刺の内容について簡単に説明を加えることも効果的かもしれません。さらに、相手が複数の場合、名刺入れから必要な人数分を取り出して用意しておくことはもちろんのこと、渡す順番にも気を付けなければなりません。

相手の社会的地位の高い順に渡していきます。その他にも、上司と同行する際には、上司同士の名刺交換が終わってから名刺を渡します。もし打ち合わせの途中で遅れて入室してきた相手側の社員がいたら、席を立つ際に「名刺を交換させていただいてもよろしいでしょうか?」と声をかけることも何ら問題ありません。

名刺を受け取る時のマナー

相手から名刺を受け取る際にも、原則として両手で捧げ持つようにしなければいけません。相手も名刺を渡そうとしている場合は、相手の差し出した名刺よりも低い位置で右手に持った自分の名刺を差し出して左手で相手の名刺を受け取るようにします。

低い位置と言っても、あまり低すぎると卑屈な印象を与えてしまうので適度な高さを保てるようにします。そして、相手から先に名刺を渡されたら「申し遅れました」と軽く非礼を詫びる謙虚さを忘れてはいけません。逆に相手が名刺を取り出すのに手間取っている時には自分から先に渡そうとせず、相手が準備できるまで待つようにしましょう。

相手の名刺を受け取ったら、すぐに右手を添え両手で捧げるようにして内容に目を通します。なお、片手のまま相手の名刺を持つ行為は礼を失するのでおすすめできません。また、相手の名刺を持つ時に、ロゴマークや氏名の上に指を置かないよう注意します。

両手で受け取る際には「頂戴いたします。よろしくお願いいたします」と言葉を添えます。さらに、名前を読んで「佐藤様ですね」と言う風に復唱して確認をします。難しい読み方でふり仮名のついていない名刺であれば、この時に読み方の確認ができます。

さりげなく「綺麗で読みやすいお名刺ですね」など感想を述べると、リラックスして打ち解けやすくなるでしょう。加えて、相手の名刺を手にしている間は、常に名刺を胸より高い位置に掲げることを忘れてはいけません。受け取った相手の名刺の下に名刺入れを敷いておくと、相手を尊重する気持ちが伝わります。

相手から名刺を受け取ったら

着席する際には相手の名刺の下に名刺入れを敷いたまま、机の上に置きます。この時、名刺を置く位置は自分の左斜め前が好ましいとされています。手に持ったままもてあそぶような行為は避けなければなりません。また、机上に置いた後、用もないのに相手の名刺に触ったりメモ用紙の代わりに相手の名刺の裏側に字を書いたりすることも失礼な行為に当たります。

さらに、相手が複数の場合には、もらった名刺を重ねるようなことがあってはなりません。一番地位の高い人の名刺を自分の名刺入れの上に置いて、他の人の名刺はその横に並べて置きます。並べる順番は、相手の着席した位置に合わせて配置するようにします。

上手側から上役が座るのが通常なので、名刺も上手から地位の高い人のものを並べていくことになります。このように並べておけば、対面している相手の名前を覚えやすくなるというメリットもあります。

相手の名刺のしまい方

対話の間はそのまま名刺を机上に置いたままにしておき、商談や打ち合わせが終わりに近づいてそろそろ両者が席を立つというタイミングで名刺入れにしまいます。名刺の扱い方には相手も注目していると思って最後まで丁寧に扱うことが必要です。

決して粗雑に扱うことなく、名刺入れに押し込むようなことは避けなければなりません。特に、受け取った名刺を机上に置いたまま席を離れることのないように気をつけましょう。もっとも、机上に書面などが広げられていて名刺を並べるスペースがない場合には、打ち合わせの始まる時に軽く会釈して名刺入れにしまってもかまいません。